手弁当/
 
りで
ひとつも理解できない

ほんとうは
何もかも
わかりたくなかった
ほんとうは 何もかも
わからなくなりたかった

ハート型に焼けて
つながった
番いの赤とんぼたち
鳶色の川面をゆっくり 横切って
あっちのビル群へと飛んでゆく
帰り道は おもいだせない

寝ぼけまなこで
こぼしてしまった
弁当箱のしゃりとともに
失ってしまった 私の
かえりみち

小腹がすいた

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