夏祭り/由希
 
見慣れた校庭が
一晩だけ様変わりする

綿菓子、水飴、金魚すくい…
走り回る僕ら

ここは夢のような異世界



雑踏に沈む大人たち
今は絵日記も自由工作も追いかけてこない

色とりどりの灯
赤、黄、橙が点滅して

ここは自由すぎる異空間



やがて

華やぐ時間は終わりを告げ

落とされる照明
たたまれる枠組み





次の日には
何事もなかったように

蝉の声が戻ってくる



ほんの少しの空虚感を残して
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