夕焼け/たけ いたけ
 
手の中で出来上がった砂山
ホクホクとした折鶴
積もる金箔

立ちはだかる君の影

渡していくバトンに
どんどんと課題が科せられていく
膨らんでいくコロモ
コテンコテン倒れていく将棋の駒

ほら
ベランダに立つ女の背中

何度もコボしながら
食べコボしながら
また口に宛がうんだ
もう飽きてしまっているのに

啄む
ネズミの死体
海からの浸水
歩いていく
逃げるように
そして何か
逃げぬように

亡霊の影を追い越して
絞首台を振り返らず
彼女の足音を追い抜いて
転がりながら
飽き足らず
アキアキしながら
飽き足らずに

見ている
オニヤンマ
蛙の交尾を
透けている
俺には
夕焼けだけが見えている



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