満ち潮/
有邑空玖
夜の隙間に入り込んで
月ももう僕を見つけられない
哀しみは満ち潮みたい
失くなることはないから
今日も僕は 独りで夢をみる
冷たい水に両手を浸して呟く
「みんないなくなればいいのに」
夢から醒めてもまだ夢の中
終わりのない眩暈
僕に流れる赤い血も きっといつか凍りつく
哀しみは満ち潮みたい
体の中をゆっくり満たして
溢れ出るから 涙になる
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