数と光/木立 悟
 



三度に分けて呑み干す光
その日かぎりの地図にこぼれ
街はひとつ低くなる
空き地は碧くたなびいてゆく


わずかに曇った風が吹き
ふところに涼しく正座している
頬を染め 空を見つめ
目をとじ 空を花にする


光に頭を入れてころがり
背から次の光に触れる
昼が午後の花に落ち
午後の花が 午後に落ちる


光の壁が次々に倒れ
道に積み重なってゆく
霧の柱に立ちのぼる
どこかへ還りつづける群れ


流れは二色に練られている
触れては触れては消えてゆく
左目から去り 右目に生まれ
ひたいに光の輪を描く


降りそうで降らない曇を乗せ
まぶたは少し重くなる
見えない輪の影だけが
午後の手のひらに浮かんでいる









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