燃えないティッシュ/楠木理沙
 
涙を拭いた君は くしゃくしゃになったティッシュを
燃えないゴミ用のトラッシュボックスに投げつけた

燃える用のやつに入れなきゃだめだよ
僕が久しぶりに搾り出した言葉は
後悔さえ出来そうにないほど間の抜けたものだった
いいんだよ 鼻水をすすりながら顔のパーツだけで笑顔を作った君が言った

知ってる? 誰かへの想いが染み込んだティッシュは燃えないんだって
どんな高温でもね
だから本当は燃えないゴミに捨てなきゃいけないらしいの
でも時間が経って気持ちが整理されたときに
そのティッシュはいつの間にか土に還るんだって
だからとりあえず燃えるゴミでもいいってことになってるのよ
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