戦争よりセックス!/佐々宝砂
死んだ、と言い
彼女は青島幸男も死んだ、と言い
すれ違いながら
俺たちはそれぞれに悲しんだのだ
昭和という括り方を彼女は好まない
俺はそのこだわりを理解できるが
同調しようとは思わない
阿久悠が死んだよと言って俺は悲しみ
彼女はそのこだわりを理解するが
同調する気はさらさらない
今日も朝のコーヒーはインスタントで
それでもその黒っぽい液体には
きちんと興奮剤が含まれている
朝になってからではもう遅いが
今日も夜がやってきて明日は朝が来る
たまにはレット・バトラーの気分になってみよう
朝の平和には夜の情熱が必要さ、と
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