雨と無知/本木はじめ
森の外で起こったことが
森の中にいる僕らふたりを不安にした
時計を持ったウサギを追って
彼女はいなくなってしまった
僕は食べかけのりんごを土の中に埋めて
君の帰りを待つ
やがてりんごの木が生えて
たくさんのりんごが実るだろう
そしたら君は帰ってくるさ
帰ってこないわけがない
僕は待った
数日後 大雨が降った
恵みの雨だ
りんごが山ほどなってるぞ
僕はりんごの木へ向かった
土砂降りの中
腐って朽ち果てたりんごみたいなものが
土からむきだしになっている
雨が、冷たいな
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