静けさ/松本 涼
 
呼吸が緩く渦を巻く
雨の涸れた風の世界

けれど風は
こちらからあちらへ
あちらからこちらへを繰り返し

その先の
どこへも流れない

白を放ち続ける街灯以外の
全ての静けさに横たわる街

ここでは風も鳴かない

せめてもの心音を探して
呼吸の渦の中へと
私は眠る


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