白い電話/
黒田康之
梅雨が明けたそうで
なにより
と
街を歩く
と
至る所で
白い携帯電話を手にした人を見た
どれもこれも白一色で
夏空の雲みたいだ
白でなければ
つながらない話があるようで
夏空の雲も
秘密めいた受話器のようだ
どこまでもさわやかな
青空に隠されている
僕らは
白い秘密を共有している
僕も恐る恐る
携帯電話を取り出してみる
ああまったく
真珠のような白一色の秘密を
いつの間にか
僕も持っていたのだ
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