自殺志願者/狩心
形ではなく
一つの腫れ上がった目としての荒野を
一つ
水脹れした内臓と
刃物で刻まれていく指先の切断音を
一つ
慌しい日々の窓辺から
止まる事を許されない血液のために
閉ざされた部屋の中で蹲る少年の
絶え間ないメロディと
止まらない煙草の煙の充満を
分解する
差し当たっては
ここからは絵葉書
絵葉書の中で動く輪郭線の消えそうな
男とも女とも言えぬ人物の
その年齢不詳の改行と
風にざわめく森林を徘徊する足のない自由を
空っぽになったギターケースと
どこかに忘れてきたメロディと
空っぽになった煙草の箱と
その中で蹲る少年のために
親父が一人
一緒に
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