麦藁少女、麦藁少年/掘鮎涼子
 



麦藁少女は別の土地のヒト
夏休みの間だけ ここにいられる
僕はここでの 麦藁少女の最初のトモダチ
麦藁少女は僕の 始めての一目惚れのヒト

好きなヒトと一緒ならなんでも楽しい
すべり台、ブランコ、鉄棒
全てもう飽きたモノだったハズなのに 全てが真新しく感じた
毎日が楽しい
いつもの待ち合わせ場所は あの自販機

夏休み最後の日
いつもの場所 いつもの時間
だけど 麦藁少女は来ない
僕は知っていた だけど考えないようにしていた
よく見ると自販機の上にあの 麦藁帽子と手紙が一枚
「今までありがとう、あと宿題ちゃんとやるんだよ」
僕は麦藁帽子をかぶって 自販機に10円を入れ 少し泣いて そのまま 溜まっていた宿題をやりに帰った

長くて短い夏休み
「短い」と感じたのは きっと楽しかった なによりの証拠だ
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