麦藁少女、麦藁少年/掘鮎涼子
長くて短い夏休み
「短い」と感じたのは きっと楽しかった なによりの証拠だ
夏休みの始まり 暑いから自販機で喉に潤いを与えようと無意識に提案
「10円足りない」
最悪だ…
そんな時 隣から突然伸びた手が 赤いデジタル文字の数字を10 上げてくれた
「ありがとう」「どういたしまして」
手の主は 麦藁帽子の女の子
僕の頬が赤いのは暑さのせいじゃなく なによりの一目惚れの証拠
「10円…返すよ」
お金が返したかったんじゃなくて また麦藁少女に会いたかった
今度は 僕が10円多く入れるって提案
「そんなのいいから遊ぼう」
麦藁少女が言った
僕は10円のことを忘れ 頷いた
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