目ん玉/望月 ゆき
 
寝ているすきに
あの娘の目ん玉を
拝借してきてしまった

薄目をあけて眠る癖が
あまりに
かわいかったから

鼻でも 耳でも
なんでも良かったけど
薄目にやられた

枕元に置いたら
見られてる感じ
で 眠れないので
ギュッと抱いて寝た。

あの娘の夢を
みた

目覚めたらもう
ひどく素敵な夢のせいで
うっかり
目ん玉のことを忘れて
歯磨きしてたら
目玉焼きの黄身の上で
こちらをにらんでた

ごめんよ
目ん玉。

黒目のとこに
ぼくのシールを貼って
返しとこう
寝ているすきに

目覚めたら
もう 


世界はぼく


ごめんよ
目ん玉。

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