突発即興詩会(7月31日深夜@会議室A)/ワタナベ
お題「老人」
ワタナベ [0:11:12]
彼の眼は深く
底には長い物語をたたえている
彼のしわに覆われた手は
年輪のように太陽の昇る方向を示している
彼の弱った足は
もはや歩くことさえままならず
しかし彼の影を苗床に
新しい命が芽吹いている
灰人/カイト [0:11:15]
広げた皮膚に
刻、刻と点刻してきた
血が滲む印もあった
しかし大半のものは薄らいで消えてしまった
今
その全てを
シュレッダーにかけよう
機械音は
なかなか鳴り止まない
細切れになったそれを
この痩せさばらえた
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