絵本/木屋 亞万
あけない夜はないけれど あけにくい夜はある
みんみんゼミは今日もねむれぬ夜をすごすのだ
月にはくものむれが重なって
まんまるお月さんはうたたねうたたね
虫かご持った男の子虫アミ片手に走り出し
月がねているすきをねらって星とりにいく
ねむれぬセミは男の子に気付いて
こっちさ こっちさ この木の上さ ここからならば天に手が届く
よし来たと登る男の子
ひるまはいのちをねらわれるセミ
夜はお星さまをねらう手助け
明日もしセミを見つけても
虫アミふらない約束ね
さあ木のてっぺんから身をのりだして
枝をしならせアミをふる
まだあと少しもうちょっと
身をのりだして空へ手を
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