FREE FORM/はらだまさる
て、)
無我夢中で、手に入れようとして
ぼくらは、稲穂のなかで(ぐづぐづして、抱き締められなかった。)
欲しいもの、全部失くした。
脱げたバスケットシューズのことも、忘れて
祭りの賑わいが、幻ならいいのに。
コラールが小さな穴から羽ばたいて。
ひりひりとした痛みと、
君の匂いが、あたしを満たして
時計の針、さえも失くした。
しっかりと、喘ぐ声を聞きながら。
君の名前が、こぼれてしまう。
もっと誰も知らないところへ、
私があたしを忘れるように、
夏が終わる。
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