FREE FORM/はらだまさる
 




                                   あたしは、
                         綿のスカートを翻して逃げる。
誰もいない、
 棚田。誰も知らない午後。
                             鬱陶しい。前頭葉を
                        明滅させる蝉の鳴き声だけど、
 まだ刈り取られていない稲穂、
  汗ばんだふくらはぎを傷つける。
                  案外、あたしは必要としていたみたい。
   息を吸い込む音だけが、大きい。
    傷口には、恥じらいが
[次のページ]
戻る   Point(21)