空気を読む猿、単純化したがる原始人/結城 森士
 
 物事を単純化して答えを割り出してしまおうとしている人間が、自分も含めた若い世代に増えているように思える。

 例えば、「ムカつく」という言葉だけで意思疎通が出来てしまうのことは面白いのと同時に深刻な問題だと思う。その単純で表面的な一単語があれば、雰囲気を大事にする仲間同士の結束は硬くなるだろう。しかし、それは薄っぺらい思考の産物に過ぎない。雰囲気とはあくまでも表面的なものだからだ。
 僕達の世代は、協調性や雰囲気に重きを置きすぎて、知的論証を軽視しすぎるきらいがある。協調性は勿論大切だが、無知の上に成り立つ原始的な協調など無いほうがまだマシだ。「雰囲気に沿わない者を仲間はずれにすることが結
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