スモーク/快晴
ハタチの彼女は或る未明に首を吊った
自殺は美しいものなんかじゃないと
それは彼女だってとっくに知っていただろう
ただそんなことに構ってはいられなかった
葬儀場で見た横になった彼女は
首吊りの名残を感じさせないぐらいに綺麗で
瞼の裏に焼き付けようと思ったけれど
凝視出来なかったのはなぜだろう
彼女と付き合っていたという男が
知り合いの参列者に挨拶をして回り
私も初対面だったが一緒に煙草を吸った
それはいつもより肺に重たかった
彼は金髪だったが板前の見習いらしく
板前なのに金髪でいいのかなんて思ったりした
葬儀場の休憩室ではビールなど
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