閉められた空間/doon
 

 日々の鬱積した思いに
 声を大にしたのはいつの事であろうか
 五月雨の季節だったのか
 晩秋の頃だったか
 心の渇きがひとしお責め上げ
 胸糞さぶい空っ風が吹く

 継ぎ接ぎだらけの言葉を拾い集め
 一片の詩に足りえないか
 暗中模索しながら呟いている
 ほの暗い街中で一人
 コンサートホールで騒いでいるのに
 記憶は暗幕の向こう側

 アンコール 辛い記憶 アンコール
 ひっそりと息を殺している獣の心拍数
 わずかに
 わずかにだが
 聞こえたような気がした

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