車椅子の背中/悠詩
姿が
輝いているとか
障害に手を差し伸べるのが
道理なんだとか
白や黒の裏側の色で
救いの詩を紡ごうとも
(ああならば僕は何のために詩を紡ぐ)
万が一にもそれが真理であろうとも
(何人騙せば気が済むんだ)
今現在の忘れられた講義室に
エネルギーの励起なんて訪れやしない
その背中を見た時点で
僕の空想は地に足をつけた
トンネル効果で壁をすり抜けた腕が
背中の輝きを掬い取る
なんの理由もない輝きなんてない
おごそかな痛みと
かすかなはにかみ
僕は淡いピンクで彩られていた
彼がそうしてくれていた
詩を綴るため
僕は立ち上がる
男の子の
「ありがとう」という詩が
聞きたかった
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