/リュウセイ
夕飯が思い付かなくて、家にあったパンとサラダと生ハムとオリーブと白ワイン。テーブルの上だけスペイン風。
ただし、白ワインはビールみたいな味がして、ぼくは独り眉をひそめる。
瓶の蓋に注いでもらった、隠れて飲むシードルの方が、ぼくはすきだ。
これならあんたも飲めるだろう、と
ラムネで割ってくれたロゼワインの方が、ぼくはすきだ。
ううん、酒には弱くなんかなかったよ。
酔っていてもあの中でぼくだけ、気持ちだけは醒めていたから。
みんな、酔っ払うと声が大きいね。ぼくはテレビが見たかったのに音がかき消されて、隣に座る娘とひそひそ囁き合った。『最低』
ぼくが子どもなら、今すぐ暴れ
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