犬の詩が聞こえる/
悠詩
には分かっていた
少なくともわたし以上は
ごかましにまみれたわたしの奥にある
素直な心に
犬は時々裏切った
でもそれはわたしが裏切ったからだ
犬には分かっていた
犬がいなくなった今も
わたしはその名前を呼ぶ
呟き続ける
飾った言葉に
少しだけ本音を混ぜて
わたしを分かってくれていると
知っているから
棕櫚の森は今日も歌を歌う
わたしは犬の名を呟き
耳をすませている
そこに聞こえるのは
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