犬の詩が聞こえる/悠詩
犬は閉ざされた窓から外を見上げ
うごめく棕櫚の森に耳をすませていた
そこに勝手な押しつけや創造はなく
素直な発見に頷くまで
あるいは発見がないと悟るまで
心を離すことはないのだろう
犬はわたしの顔を見つめていた
こちらの着飾った呟きに
耳をぴくりぴくりと動かしていた
瞳は世界から享受されたもので
世界の慈悲を享受するもので
わたしの醜い口を
ためらいもなく認めてくれた
アーモンド形に輝くその瞳に
キスをしたかった
言葉なんて分からないのに
分かったような顔をして
時折小生意気に首を傾げて
にこ毛をいだくその身体を
抱きしめたかった
犬には
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