ゆきちゃんの想いで〜教育についておもう〜/池中茉莉花
かじりついたんだ
そして、学年で一番とった
「わたし、大学行きたいな」
その一言をどう受けとめる?
がんばれば、できるよ。あなたなら、できるよ。
あなたの目は 飢え乾いてる
学びたさに 乾いている
シリカゲルみたいだよ、ね
隙間に いっぱいいっぱい水を含んで
おおきく、おおきく、なぁあれっ
でも、高校の先生は違ったんだ
「うちの学校で一番とっても大学はムリだよ」
先生がみんなそんな人ばかりじゃないのはわかっているんです
でもね
少なくてもゆきちゃんに関しては
そういった先生がいたのです
先生たちが忙しすぎるのが問題なのかもしれないけれど
先生だけを責めることはできないのも 確かだけど
彼女は学ぶことを諦めた
可能性の 塊だったのに
わたしが受け止めてあげるべきだったね
もどってくれば いいのだけど
いまだって 遅くはないのだけど
それとも かじりつけなんて
いっちゃだめだったのかしら
風が強く吹いています
雨がざあざあ降っています
こんな凍えそうな日、ゆきちゃん、あなたのことを想いだすのです
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