にびいろの声紋(六)/信天翁
 
  町並みは息をひそめているし
 プロムナードは息を抜いている
空はカンツォーネを奏でているし
 海はレクイエムをうたっている
    風は愚痴を吐いているし
    光は論理を愛撫している
箒星はクロノスを軽視しているし
 明星はカイロスを黙示している
あゝ こごえてる四次元の裏側で
またたいているものはなんだろう
・・・・わたしはのみこんでいた
のどもとにからまった赤い唾液を
にびいろの声紋におののきながら


戻る   Point(3)