橋、ただの橋だけど/たりぽん(大理 奔)
夏の真昼、それでも橋は
向こう岸へと道を渡していた
橋は境界を渡っていくという
意志の名前だ
それはいつも不器用な放物線で
あなたと わたしや
世界と そうでない世界と
あっちと こっちとかを
つないでいるようにみえる
傷や哀しみがとけて
流れていくのが川ならば
橋はそれすら見届けて
涙のむこうとこちらを
ひとつにしながら分断している
僕はあなたの橋でいい
世界を変える、とか
悲しませない、とか
そんな嘘はつきたくない
ただ、彼方まで
あなたの道が
届いていきますようにと
ひとつひとつの傷を
不器用な放物線で
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