森園/望月 ゆき
そこに訪れるたび
答えをさがす
水面から急潜行すると
彩色をほどこした
森がまぎれもなく存在している
潮流に逆らうことなく
揺れ傾いている
イソバナを縦横斜めに
宇宙遊泳で深いほうへ
苔むした空き缶では
ミジンベニハゼが同棲していて
飲み口から辺りを偵察しているので
なにか 見てはいけないモノを
見てしまった気持ちになり
ついと目をそらす
そらす直前
チラリと盗み見
失敬。
そこに生息するすべての者は
ひどく自分をわかっていて
安堵を手に入れるために
みな思い思いに城を築く
それは砂の中
それは葉の裏
あるいは ヒトデの腹
ウミウシ牧場の一期一会
限りある酸素
限りある時間
時に迷いながら すすむ
その森には幾度も訪れるが
探しているこたえは
まだ 見つからない
問いかけは
なおさら。
永遠に
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