Cの練成/蒸発王
空襲のあとは
炭の山だった
『Cの練成』
彫刻よろしく
ヒトの型をとった
炭素を
スコップで突き崩して
トラックに積む
鼻をつく
死体の焼けた匂い
立ち込める灰を
吸い込むと
充満した“死”が
自分にも感染する気がした
理系だからと
日本に残されたのを
両親は喜んだが
僕は
悔しかった
文学部の親友は
ビルマで身体を張って
法学部の悪友は
サイパンで玉砕した
細菌学部の好敵手は
ハルピン731で
人間を壊してるのか
自分を壊してるのか
わからない
カチン
音が鳴って
スコップが止まった
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