トンネル/天国/書店/吉田ぐんじょう
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わたしの住む町にはトンネルがある
トンネルはぽっかり口を開いて
雨の日にも晴れの日にもただ
怠惰そうに横たわっている
トンネルってなんだか産道みたいだ
トンネルを通り抜けるということはすなわち
産まれ直す
ということでもあるように思える
温かくて暗いトンネルは
壁といわず天井といわず
うっすらと鼓動を打っているように動いて
わたしは入り口に立ち尽くして
出口を眺めながら長いこと迷っていた
入ったら最後
向こう側で何になってしまうのか
解らなくて怖かったから
むしとりあみを持った少年が
駆け抜けてって子犬になって
携帯電話で遊んでいた
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