夜のころも/
木立 悟
ま落ちる
遠いです 遠いです
遠いから火で 光です
夜を見つめる歯車に
雲はからまり 甘く匂う
綿菓子のように甘く匂う
かがやきは差異 かがやきは差異
音は音をまたたかせ
緑は緑をまといながら
波打ちぎわを歩いてゆく
みな騒がしく静かに消えていき
砂の上の足跡も轍も
子らとともに眠るとき
小さく小さくたたまれたまま
ころもは波を口ずさんでいる
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