夜明け/木屋 亞万
 

鶏が屋根で鳴いている
風見鶏が朝の方を向いて

窓から海を覗く
明けなずむ空は
緊張感の狭間
じっと見つめる
こげ茶の目2つ

隣では年老いた夜
足を三角に折って
星を片付ける準備

陽気な熱で
線ががふやけ始める
水平線に綻びが走り
星は素早くカーテンを閉めた

夜は少年の変わりに
ベッドで安らかに眠りについた
海が機嫌を直して
朝日が解放された頃

少年はパンを買いに出かける
火をいっぱいに吸い込んだ
こげ茶焦げ目のバターロール

風見鶏が昼に向けて半回転し
走る背中を見送った




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