気をつけて/砂木
みちゃんは ミニ・ボトルをくれた
私は大事にして めったな事では飲むまいと思った
そしてあの暖かな送別会を思い出すと
あの男も思い出した
田舎へ帰っても親には言えなかった
誰にも言えなかった
笑い話にもできなかった 若い頃
年をとり 珍しくもない話だと
今なら苦笑ですませられるが
あの時もし一人だったら
あの男は どうしたんだろう
二度と故郷へは 戻れなかったかもしれない
手をとったのが くみちゃんで本当に良かった
でなければすべての男を 私は憎んでただろう
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