別れの詩/川口 掌
君は息継ぎが苦手だからプールの真ん中で立ち止まってはいつも大きく深呼吸してる
わりと息継ぎが上手に出来る僕は昨日まで立ち止まる事も無く此処まで平気で泳いで来た
でも今僕は何故だろう息継ぎが出来ない
ほんの昨日まで泳いで来た軌跡も次第に薄れていき泳ぐ事すら忘れかけている
布団の中眠りつく前
君は僕の手に触れ小さな声でよく囁く
お願い しっかりと握り締めて
息継ぎの出来る僕にはどうにも成らなくなって仕方なくプールの真ん中で立ち止まらなければ成らない気持ちが理解出来ず
少しおざなりに軽い気持ちで握る事しか出来なかった
独りぼっちで自身の小ささをかみ締めながらそれでも尚必死で泳ご
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