思春期/美砂
 
思いがけず強い力で押され
はっとする
そして君は自分にとまどっている
そんなふうに
わたしがよろめくとは
思ってもみなかったのだ

どこからわいてくるのか
その力は
どこへいったのか
あのやわらかな声は
どこへむかうのか
その眼差しは

以前と同じように
君を愛している
君は君だ
だが
君は以前の君とは
ちがう

呼吸がききとれるほど
そばにいても
君のなかにうまれた
君だけのものを
おさえることなど
できない

君を愛している
その新しい力に
おののきながら





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