今 この時/アハウ
 
今 朝日を額に受け
まぶたの裏には
暖かな血流を感じ

息を整え始めた

鳥の声 高く昇り
青空がイメージされる
白い雲と

背中に負った 過去が流れ出す

(悔いるべき愚行)(優しい母の顔)(伊豆の仙山)
(海水浴に入道雲)(喜びの歓声)(愚かな情念の色彩)

水面に赤いブイが見え隠れする
立ち上がり そして 消えてゆく表象
楽しみ 苦しみ

過去が音もなく 今に流れ入る

その微細な表象に
暖かな波動 祝福された形態 
見慣れぬものが混じり始める

あるだろう未来からの映像だ
未来の夢を託す 文物をきっかけに
植物の生長のように ゆっくり 
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