世界が深呼吸する日/望月 ゆき
 
うまれおちたとたんに
呼吸のしかたを忘れてしまった
たったいま、吸い込んだものは
なんだったろう


流れてやまない日々は いつも
右手を砂へ
左手を空へと のばして
手をつなぎたがるので
しばしば
海を凍えさせる


うまれ変われないことも
やりなおせないことも
知ってる
彼方からの合図を待って
人生を仕切りなおし
しよう


世界が、深呼吸する日


水平線のうえで
朝焼けと
夕焼けは
おんなじ顔をしていた

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