君は友達/楠木理沙
 


抜け殻は小学校で教鞭をとっていた
いじめは絶対にいけないと熱く語ったが 相談は受け付けられないと言った

抜け殻は詩を書き始めた
詩を書くのが好きなのではなく 詩を書く自分が好きであることに気づいた

抜け殻は路上で弾き語りを始めた
歌うべきことがないのに歌っている自分に涙し それを歌にした


抜け殻は元友達にかぶさった
元通りになった元友達の友達が わたしたち友達だよねと言ったから
わたしはうんと答えた

少しだけ体がむずむずしたけれど それはたぶん気のせいなんだと思う


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