3度目の原爆2/円谷一
瓦礫の海を躓かないように慎重に歩きながら
君の姿を盗人のような目つきで懸命に探している
廃墟の中 放心しきったストリートミュージシャンの少女がアコースティックギターの虚ろな音を鳴らしている 一円玉をギターケースに入れて虚ろな音を立てたい気分だった 傷付いた人々は疎ら 空は黒い雨を出し切って白く薄い雲間から笑顔を出している
関東平野が一瞬にして火の海になり 大都市の跡地となった
アメリカ軍の救助隊はまだやって来ないのか 肩から炎で破れたTシャツをぶら下げて 真っ黒な裸足で水も食べ物も5日も採っておらず果てしない跡地を歩き回った
地下鉄への入口の建物が吹き飛び階段だけになっている真四角の穴か
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