置き去りカンバス/悠詩
 
てのひらから
指折り数える時間の粒があふれ出す
指の間からぼろぼろ零れ落ちる速さは増し
掴み取るのが追いつかなくなる
焦って
その姿を子供たちに見られていることに
また焦って
わたしの欲しいなにかを探す旅に出た




醒めかけた陽炎が
錆びた空をも溶かそうとしている丘に
天球をかたどったカンバスは置かれていた

誰が描き忘れていったのだろう
地味豊かな大地に芽吹いた木々は
鳥の囀りとともに躍り
太陽と雲の綾なす光の帯が
手をつないだ
女の子と
男の子を
彩る

指でカンバスを掬ってみる
ふんだんな血肉と光でできたそれは
プラチナのように肌にな
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