その名に/
信天翁
競歩のまねして
ちゃちな市道をすりぬける
野末には瑞々しい水田がねそべっている
くろはえにすなおな いとけない稲は
衣擦れのそよぎこそないものの
赤い四次元の 白いかおりに
穂のたれるときを秘め
いじらしくゆらいでいる
第百階級の蛙は長く厳しい冬眠中だが
小雀が緑の波へ遊覧にやってくる
椋鳥も豊饒の畦道へ探検にやってくる
まるで 有情がエホバのErosに生かされ
その名に生きようとするかのように
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