冒険者/狩心
 
傷は黒く切り裂く飛び散る羽
船と気球は別々の方向へ向かう
感情の線は鳥の形をしている
白い空間は必ず黒く擦り切れる

波の色は緑
寄り添う二本の木が横に項垂れて
水面の波紋を真上から見下ろしているのか
寄り添う二本の木が直立不動で
水面から立ち上る水蒸気を真横から眺めているのか
今はもう分からない
あの頃の思い

祭壇の上に乗せられて
神のような支配者に指差され
中身が透明で真空の十字架に
今にも突き刺されそうだ
その処刑場にて野次馬は姿を隠すように透明で
ここからは表情も見えない
しかし皆、肩を落として項垂れているのだけは分かる

現代の我々の記憶

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