みどり よびこ ?/木立 悟
 



夜はせばまり
夜はひろがる
粒と浮かぶかたちと唱と
妨げを泳ぐ轟きと尾と


波の終わりとはじまりに
砂の言葉と花火があがる
水からひろいあつめた羽と
貝のかたさの音のつらなり


色と影の少ない川に
小さく浅い跡を残して
指の羽は北へ向かう
冬の背中をなぞりつづける


蒼を讃える祭をすぎて
造られた風の震えを聴く
羽と羽の重なりの夜
新たな声が生まれ降る夜


手のひらの上の手のひらに
火があり 回る菓子があり
うつろな言葉を欲するものらは
揺れる影を避けつづけている


手は手をつつみ
仮面は外され
花の下にしまわれ
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