聾唖のあなた/円谷一
の純粋さにさらに心惹かれて あなただけの景色の中に静寂さが生まれて涙が落ちて音がした
波止場で見た荒れた海の景色は最高だった あなたと中空に浮かんだ時間を閉じ込めて 果ての見えない波状線の先には涅槃があるように見えた
あなたに告白した あなたはうん と頷いて抱き付いてきた
あなたとこの先もずっと一緒にいて 生涯を終えたら神にあなたの耳を聞こえるようにしてもらうんだ そして今度はちゃんと声を聞いてもらうんだ それが無理だったなら二人で耳が必要がない世界へ入って死ぬまで幸せに暮らすまでだ
戦争が激しくなるにつれて安全な場所がどんどん少なくなっていき 人々は故郷へ帰るのが多くな
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