テトラポットの上のロイド/虹村 凌
 
女でもあるまい
考えれば考える程煮詰まる鍋みたいな頭ン中

テトラポットの上に立ってほしい

寝苦しい夜にスーツを着て散歩に出る
熱帯夜にラバーソールを履いて散歩に出る
大好きな女の事を考えながら散歩に出る
時計も携帯も何もかも家に置いてきたよ

煙草の先から蜃気楼が立ち上って

どうにもこうにも満足出来ない
安っぽいヒロイズムは結構嫌いじゃない
だけどどうにも満足出来ない

テトラポットの上に立って欲しい

先に眼が覚めても何処にも行かない
夜になれば帰ってくるって約束する
もう洗いたての髪にキスしたりしない

滲んで広がって弾けてしまった

曲がりきれなかった小皿が
音を立ててベルトコンベアから弾き飛ばされた
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