優しい窓/
葉流音
流れる景色を
ふと見た瞬間
確かに
泳いでいたのは
白いくじらでしたけれど
すかさず構えた
携帯の中には
うまく
おさまりきれなくて
するり、と
いなくなって
しまいました
ふとした視線の中を
すいすい縫って
いまはまた
誰かの瞳に
尾を揺らしたでしょうか
そう思うと
不思議気分
知れずと笑い顔な
私をうつし
窓は今日も
澄んでいます
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