解き放たれた・解き放たれている歴史のさなかで/黒川排除 (oldsoup)
幾分か重いものを愛した この身体は幾分か重く 逃げようとしているものを まるでわざと逃がしているかのようだ 放牧場で ひつじの群れを遠くの山の方に追いやりながら ぼんやりと走っているのは 忘れられた 記憶に巡られたいくつかの 遅すぎた 生命の循環がもたらした少なすぎる恵みに 膝を緩く曲げる郵便箱が受け取った手紙が 水の中に落ちて 激しく燃え出したからだ 水面がにわかに輝き出し 縦に線が伸び始めると それがひしゃげて ひとつの時代が何年でついえるのかが明確に読み取れる そんな気がする
幾分か重いものを愛した それはのしかかった 風見鶏の回転は止まらず ついには脱穀できるようになった 数限りない
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