悟/きりえしふみ
 
せた
 いつしか 此の糸、不意に縺れて
 私の首を 息を 鼓動を……?了?と〆る
 危ぶみながらも 受け止めた
  血の気なき 此の手 此の狭き背に

 インキとなった赤き血潮が まだ
 無数の言葉を滲ませている 涙目でぶら下げている
 細い無数の糸を通い鼓舞する 一芝居 無言劇……独白
 
 無数の言葉が全て 語り終えたら
 私も深々と一礼し 去るとしよう
 大きな人型の痕跡を残し 言の葉と共に
 銀糸の海のうねりへ 木々茂る揺籃(ようらん)へと 還ってゆこう 巡ってゆこう
  
  春の夜明けの章へと 此の身、再び起こされる迄
  人型の銀糸へ また此の身、熟す日迄

 ©haine kotobuki 2007/07/20

戻る   Point(4)