伝えるすべなんてないから/Rin K
 





楽しいときほど
思い出してしまうのは
あなたと過ごした夏が、きっと
あまりにも輝きすぎていたから
あいたい、と
そんなき持ちに自分の笑い声で気がついた
だって二年前、あなたと
重ねあった声にとても似ていたから

寂しいときほど
あなたを呼び続けたのは
わたしの失われた影は、きっと
あなただと信じていたから
あいたい、と
言ってもすぐに叶わないことに
気がつかなくて、だから泣いてばかりいた
でもそれは、ふたりとも同じだったはずだよね

最後の日にさ、忘れて行ったでしょう
白いシャツ
洗ってもとれないのは
あなたを流れていた潮の匂い
そう
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